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kyu-sen-bi(6)
JUGEMテーマ:小説/詩

上空の枝と枝との隙間から織り成された木漏れ日が、ぽっかりとした金色の影を落としています。森の所々に落とされた、その白い光線の輪の中には踏み入らないようにしながらクウは歩み続けます。しかし不思議なもので、そうしてはいけないと強く思えば思うほど、クウの目玉や足取りは木漏れ日のスポットライトのまばゆさに惹き付けられてしまうのでした。そこで彼は気を紛らわす為に、ちょっとしたお遊びをしてみようと企んだのでした。遊びとはいっても誰か競う相手がいる訳でもなし、クウ自身の退屈しのぎにしかなりません。それでも一歩踏み出すごとに脅えながらでいるよりはマシだろうと思うのです。
| -0:00 | 17:22 | comments(34) | - |
kyu-sen-bi(5)
JUGEMテーマ:小説/詩


クウは両手に握り締めていた小銃を肩に担ぎ直しました。それでも極力足音をたてない様に気を付けながら、あまり枯れ葉の落ちていない、やわらかな土のむきだした部分をブーツの底で踏みしめながら、少しずつ彼は前へ前へと進み始めました。たとえ敵兵の気配が無くとも、わなが仕掛けられているかも知れません。落とし穴にでも落ちてしまおうものなら、味方だって危険をおかしてまではクウを助け出してはくれないでしょう。
| -0:00 | 10:49 | comments(0) | - |
kyu-sen-bi(4)
JUGEMテーマ:小説/詩



もう一度、残ごうからひょっこりとクウが顔を出すと、さきほどと寸分変わらぬ穏やかな森の様子が目に映ったのでした。耳を澄ましても木々の揺れ合う音や葉の擦れる音、鳥やけものの声くらいしか聞こえてきません。
クウは思い切って残ごうから身を乗り出しました。そしてすぐさま木々の影にもぐり込んで、あたりをじっとうかがいました。しかし何事が起こるでもなく、リスの親子が目の前をかすめただけでした。木のてっぺんからライフル銃でクウをねらい打ちするそげき兵も、森かげにナイフを持ってひそむ迷彩服のまちぶせ兵も、どうやら辺りにはいない様なのでした。クウは少しほっとして、静かに深呼吸をしました。きっぱりと辺りを包む朝もやが、胸の奥へと吸い込まれていくのをクウは感じるのでした。
| -0:00 | 10:52 | comments(0) | - |
kyu-sen-bi(3)
JUGEMテーマ:小説/詩


何度も前線での戦いを経験してきたサム上等兵には分かっていたのです。例えほんの十数メートル先の敵との銃撃戦であっても兵士のほとんどが、まともに敵兵に向けては発ぽうしない事を。それは敵軍にしても同様であり、こちらの息の根を止めてやろうなどとぶっそうなことは、あちら側からの気配からも伝わってはきません。それでは一体、兵隊たちは戦場で何をしているというのでしょう。一見すると激しい撃ち合いも、実のところはあさっての方角目がけて銃をぶっ放していたり、場合によっては空砲だったり安全装置さえ外していなかったりと、てんでに軍隊の仕事は行われていないものなのです。出来る事ならば誰一人を傷付ける事もなく国に帰りたい、それが彼ら兵隊たちの本音なのです。

| -0:00 | 07:11 | comments(0) | - |
kyu-sen-bi(2)
JUGEMテーマ:小説/詩


そして溜め息をつくと、地面に覗かせていた頭を一度引っ込めて狭くて真っ暗な残ごうに潜り、その中で身を縮めながら、迷彩服のホルスターからオートマチックを抜き出して弾の充てんを確認しました。みんな息をひそめて、それでもクウの事を心配そうに見詰めている様でした。そんな気配が伝わってきましたが、クウはだまって外に出る支度をしました。編み上げブーツの紐を締め直していると、あかぎれの指先がひりひりと痛んだのでした。真夜中には夜気が零下になる為、風邪を引いたりひどいしもやけを作ったりする兵卒が絶えないのでした。おだやかな気候の元で生まれ育ってきたクウたちにとっては、この凍える森の前線が地球とは別世界の様に思えるのでした。
「クウ一等兵」と、暗がりでサム上等兵の声がします。みんなが耳を澄ませます。クウが返事をすると、上等兵は少し厳しい声の調子で「敵と遭遇したら、迷わずに仕留める事。威嚇ではダメだ。必ずオートマチックを、敵に向けて引き金を引くんだぞ」と命じたのでした。

| -0:00 | 08:58 | comments(0) | - |
kyu-sen-bi(1)

たたかいがはじまって5日目の事でした。
残ごうからひょっこりとクウが顔を覗かせた時、その鼻の頭を小鳥がかすめていったのでした。夜中の間中、雷雨の様に鳴り響いていた砲撃の轟音も止み、辺りには靄と湿った火薬の匂いが立ち込めていました。もうすっかり朝なのでした。見た目ではまるで以前と変わらぬ、のどかな森の朝でした。
「おい、気を付けろよ」
 クウの足下からロテ伍長の声がします。兵卒のクウよりも、それはおどおどしている感じがします。
「大丈夫でありますよ。敵はさっぱり見当たりません」
 クウはすかさず答えました。するとまた足下では、ざわざわとする気配が感じられたのでした。きっとみんなは、外に出てみようかどうしようか、相談しているのだろうとクウは思いました。
「おい、クウ一等兵」再び塹壕の下からロテ伍長の声がします。「本当に敵は見当たらないのか?」
「はい。確かであります」
「よろしい。それでは」と伍長の声はいくぶんか、威厳を取り戻したのか立派な感じがしました。「辺りを偵察してくるように命じる」
クウは一呼吸置いてから「りょうかい」と小さく返事をしました。
JUGEMテーマ:小説/詩


| -0:00 | 10:10 | comments(0) | - |
休憩2:「教室」
教室には 敵意が充ち満ちている。
年端の行かぬ子供等の 或る届かぬ決意の様な暴力が 充ち満ちている。
大人達の憎悪が 充ち満ちている。
ただただ無防備な敵意は 教室を満たし
大人たちにより放たれた 悪意の欠片もない 暴力への憧憬は
充ち満ちている。
連綿と注がれてきた 充ち満ちる殺意が
やがてしっぺ返しの様に 教室からは溢れかえり
世界を覆うのだ。
世界を覆っているのだ。
JUGEMテーマ:ポエム


| -0:00 | 15:59 | - | - |
休憩:定理について
自分の目で見る世界の外側に何があるのかを知らない。
少なくとも今は、目で見る世界のみが証明され得るものだという認識でいて、視認し得ないものは存在しないに等しいと思っている。僕は。見て触る事の出来るものは、そこにあるから在る。触れないものが在るのか無いのかは、見て触っていないが為に、分からない。
だが目の前の現実は果たして現実として存在しているか、実のところは確信を持てない。それを現実として認識しているものは、とどのつまり僕の意識のみであり、実はこの世界の創造者たるのは僕の意識なのかも知れない。世界は僕の意識によって創出される壮大なフィクションなのかもしれない。
この論に依れば、では世界の外側にある世界も目の前に見る現実も全ては同質であり、僕という一個人の意識が作り出す範疇にあるといえる。即ち世界にあるものは全て、目に見えるものも見えないものも実在する。あると思ったものは全てある。
再び元の論に戻れば、見えないものを見えぬとして存在しないものだとする仮定は、反面、見えるものの全てが僕の見ている意識、それはスコープの様なもの、によって存在するものの範囲を限定しているということにあたる。例えばこの論に依れば、過去に於いて存在したはずのものは、僕が経験をしていない限りは全て実在していない事になる。「死」も存在しない。何故ならば僕は、それを過去のものとして経験できないからだ。そもそも僕の個人的な「死」などというものが本当に存在するのか? 
僕の死を僕の家族は、経験として認識し、死という存在として確信できるかも知れない。しかしそもそも僕が死を迎えて後に、僕の家族は実在するのだろうか? 世界などが果たして実在しているのかどうかなど、僕は知りもしない。

僕の意識が途絶えて後に、あなたは存在するのか?
あなたは果たして、あなたなのか?
あなたは本当にあなたなのか?

あなたは実のところ、僕の意識によって都合良く割り当てられた一つの配役に過ぎないのかも知れない。
愛、憂い、憎しみ、悲しみ、娯楽、試練、享楽、挑戦、渇望、怠惰、そして喜び。これらの枠に充てられた配役でしかないのではないか?
そしてこれらの仮定の全ても、僕という個人の意識の中で止まり循環する限りに於いては、目に見えるもの見えぬものいずれを実在として捉えるかは意識の差違に依ってでしかなく、意識の枠内に於いてのみ運動するものの単なる反復でしかないと、僕は思う。
意識とは、それが存在する限りはいかようにも世界を変える事が出来、そして好みのままに世界と自分との関係性を創造する、それ自体がただ一本の鍵なのである。
JUGEMテーマ:エッセイ


| -0:00 | 10:17 | - | - |